最近のスマートホーム製品でちょくちょく見かけるMatter。
スマートホームデバイスを統一する規格だということは何となく分かるが、他の機能にどのような機能を有しているのかよくわからない人も多いハズ。
今回はそれなりのスマートホーム環境を構築してる犬鳴がわかりやすく解説していく。
Matterは乱立した規格を統一
スマートホーム機器を管理するにはメーカーごとに専用のアプリが必要となる。

Alexaなどのスマートスピーカーはアカウントを紐づけることで操作が可能になるが、これだと、別のメーカーが増えるたびにアプリが増えるため管理が手間になる。
アプリで管理できるとはいえ一部機能はメーカーアプリでないと操作できないなんてことも多々ある。
このようなスマートホームの煩雑さを解消するために生まれたのがMatterというわけだ。



Amazon、Google,Appleのスマートスピーカー大手3社がMatterに参加したため、結構話題になっている。
Matterの特徴

Matterの特徴はざっとこの通り。
- Alexa/Google/Siri全部対応
- Matter対応なら別メーカーでも管理可能
- オフラインでも使用可能
Alexa/Googleアシスタント/Siri対応

Matterに対応したデバイスはすべてAlexaやGoogleアシスタント、Siriにも対応している。3社ともMatterに参加してるから当然。
ほとんどのスマートホームデバイスは、AlexaとGoogleアシスタントに対応してるため恩恵は少ないが、Siri対応のものは少ないためありがたく感じるだろう。
アプリを統一できる

さっきも書いた通りMatterに対応したデバイスは、そのメーカー以外のMatter対応メーカーのアプリで管理できる。

環境を整えれば一つのアプリですべて制御できるようになる。
オフラインでも使用可能
これは一部のMatter製品に限るが、オフラインでも使用できる。

普及しているスマートホーム制御の仕組みは上のように一度インターネットを介するため、ネットが切断されると操作できないという欠点があった。

Matter製品は、ネットを介さずに制御できるためインターネット上のサーバーが落ちても安心だ。
インターネットが使えないため外出先からの制御は無理だが、自宅にいるときにサーバー障害でエアコンが付けれないなんてことはなくなる。
Matterのクソデカ注意点
情報を漁って出てきたMatterの注意点について伝える。
【重要】Matterには2種類ある
Matterには大きく分けて2種類ある。
- Matter over Wi-Fi(Wi-Fi)
- Matter over Thread(Thread規格を使用)
これめちゃくちゃ重要だから覚えておいてほしい。
Matterを使用するにはハブが必要
Matterデバイスを使用するにはMatter対応ハブが必要だ。これがないとMatterデバイスを使えない。
ここでMatterの2つの規格が絡んでくる。
Matter over Wi-Fi対応ハブ”は”多い

一つ目のWi-Fi接続のMatterデバイスは多い。なぜなら今まであった仕組みを共通化しただけだから。
当然スマホも対応しているし、Alexa/Googleアシスタント/Siri搭載スマートスピーカーのほとんどが対応している。
ボーダールータがないとThread使用不可
問題はこれ。

Threadというのは、応答速度・接続信頼性の向上や消費電力の削減などメリットがあるのだが、一番強いのが、Wi-Fiの電波が弱くなりがちな屋外や車庫でも繋がるようになる。
これはメッシュ状に接続されるThreadだから成せる技。
そんなThreadだが、これを使用するにはボーダールータというまとめ役が必要だ。
ボーダールータとなる大手3社のスマートスピーカーはたったこれだけ。
- Echo(第四世代)
- Echo Show 10(第三世代)
- Echo Hub
確認サイト(その他デバイスはここから)
→https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=16450695051
- Nest Hub(第2世代)
- Nest Hub Max
確認サイト(その他デバイスはここから)
→https://support.google.com/googlenest/answer/12391458?hl=ja
- HomePod(第2世代)
- Home Pod mini
確認サイト(その他デバイスはここから)
→https://support.apple.com/ja-jp/102078
めちゃ少ない。
Wi-FiのみとThread両方使うデバイスがある
Matter対応デバイスには、Wi-Fiのみで良いやつとWi-FiとThread両方必要な2種類ある。
つまり、「Matter対応ハブ(Wi-Fi)あるからMatterデバイス全部使える」というわけでない。

幸いにもThread方式を使うデバイスはこのようなロゴマークがついてるため判別できるから、ちょっと気にかければ良い程度。

逆にこのロゴが付いていないデバイスはThreadを使用していない。即ちWi-Fiの電波外では使えないし、Threadのメッシュ環境に入れないから気をつける必要がある。
IPv6が必要

Matterを利用するにはIPv6が必要。
そもそもIPv6というのは、IPアドレスの規格。IPv4という規格もあるのだが、それが持つIPアドレスの数が少なくなったためIPv6が作られた。
その他にもセキュリティ向上や通信速度が向上するなどのメリットがある。
Matter製品の一部はIPv4でも動作するらしいが、一部機能が使えなかったり、セキュリティ性が低下するらしい。

対応しているかの判別は速度測定サイトの”みんそく”を使うと分かりやすい。
他のサイトでは何故か「IPv6が検出されません」と表示されるが、みんそくはちゃんと判定してくれる。→みんそく(別タブ)

もしサイトを使うのが嫌であれば設定から確認できる。
もしIPv4と表示されたり、IPv6アドレスが設定から見当たらなければこれらの可能性がある。
- ルーターが古い
- ルーターのIPv6設定ミス
- プロバイダの契約(IPv6未契約)
ネットワーク系は原因解明が行いにくいから各自調べてほしい。ホームルーターは知らない。
一部機能が対応してないことも

上の図のようにMatter対応メーカー同士であればアプリを1本化できるが、すべての機能が使えるとは限らない。
メーカBのスマートプラグをメーカーAのアプリで管理するとする。
オンオフなど基本的なことはできるが、メーカーBのアプリにある一部機能が使えないなんて自体が発生する。メーカーBにある機能を使うにはアプリを追加しないといけない。
これはMatterが普及するにつれ解決されるハズだが、独自機能は対応しない恐れがあるため、Matterのメリットが一つ潰れる可能性がある。
最後に
Switchbot一強を止める鍵
突現在スマートホームを構築している人の殆どがSwithbot製品を使用しているだろう。安いし良く出来てるからだ。自分も使いまくってるし、一部製品はレビューしている。
今のスマートホーム業界はSwitchbot一強みたいな節がある。でもこれ非常に危ない状況だ。
Switchbotが主要デバイスを安く売り囲い込むことで、便利な小物グッズを高く売っている。リモートボタンが最たる例。
また、別メーカー品で便利そうなものが出てもSwitchbotのエコシステムでは使えないという問題もある。
そんな寡占状態を翻してくれる鍵となるのがMatter。

Matterに対応していればメーカーごとの垣根が崩れるため、Switchbotが行っていた囲い込み戦略から抜ける事ができる。これを機にSwitchbotには焦ってもらいたいものだ。
USBの二の舞ならないことを祈る

データ転送、充電、映像出力すべてを統一することに成功したUSB(Type-C)。その代わりバージョンなどがくっそややこしくなってしまった。
執筆時点でMatter対応であればバージョン関係なく全部使えるが、今後どうなるかわからない。
どうかUSBの轍を踏まないようにしてもらいたい。
ここまでご覧いただきありがとうございました。