最近フリマサイトでこのキーボードを購入した。もともと記事にする予定はなかったけど結構好みだったからレビューする。
K3 V2は名前が長いため以後K3と呼称する。
目次
Keychron K3 V2とは

さてKeychronの製品は様々な選択肢があって良いと評判らしいが、逆に多すぎて混乱する。だからちょろっと解説する。
今回購入したのは「Keychron K3 V2」。つまりKeychronKシリーズ、薄型メカニカルモデルの2代目。ここだけでも混乱するが更に、キースイッチの違いもある。
自分のはオプティカル赤軸だ。他にもオプティカルの青茶軸、メカニカルの赤青茶軸がある。
またメカニカルスイッチモデルはホットスワップ不可、オプティカルスイッチモデルはホットスワップ対応という違いもある。
もうぐっちゃぐちゃだけど、自分のはオプティカルスイッチだからホットスワップ対応らしい。
使用した感想
打鍵感好き

打鍵感としては、ロープロファイルスイッチということもあってペチペチした打鍵感になる。かといって安物のパンタグラフキーボードのようなブニュブニュさが無いし、しっかりとしたストロークもある。
サクサクスコスコとした打鍵感でとても心地よいペチペチさだ。
でも打鍵感の”気持ちよさ”は普通のメカニカルキーボードのほうが上だと感じた。バネの押し返す力がロープロファイルキーボードでは損なわれているのが痛い。
決して打鍵感が悪いわけでない。このペチペチした打鍵感は自分の好み。でも多くの人は普通のメカニカルキーボードのほうが好みだろうと感じた。
もし購入するなら、茶軸や青軸の方が良いかもしれない。
打鍵音が静か
この打鍵音の章でも書いた通りめちゃくちゃ静か。前までゲーミングキーボードを使用していたからより顕著に感じる。
打鍵音のレベルとしてはメンブレンキーボードと同等かそれ以下。パチパチ打てるのに音は静か。まるでプリウス。
この音量なら外出先でも使用できると感じた。図書館などの静かすぎる場所での使用は憚れるがカフェなどの雑音がある場所での使用は問題ないだろう。
音はこんな感じ。かなり近づけて録音している。
比較
前まで使用していた銀軸ゲーミングキーボード(K65 RAPIDFIRE)と比較。
それぞれ20cmほど離して録音した。録って出しだから音量が小さい。
金属音が鳴らない
メカニカルキーボードの場合、打鍵時に”フォーン”という金属音がなる事がある。前使ってたCORSAIR K65 RAPIDFIREは特にこの金属音が酷かった。
一方、K3は金属音が鳴らない。
フォーンという音が無いだけでタイピング時のストレスがガクッと減る。金属音なんて気にしないよと思ってる人こそ体感してほしい。
滑らせるようなタイピングが可能

元々ノートPCのようなストロークの浅いキーボードをよく使っていたことから、滑らせるように打鍵する事が多い。
コツさえ掴めば、ストロークが深いメカニカルキーボードでも指は引っかからないが、興が乗ってタイプ速度が上がると、ついつい滑らせるように打鍵してしまう。
滑らせて打鍵すると指がキーに引っかかったり、キーが戻る時のがうるさかったりする。

K3はストロークが浅めであるため指が引っかからない。戻る音はあるが元々静音であるためK65と比べるとマシ。
この音が出るのはバネを使用する関係上仕方ない。
薄型メカニカル+JIS配列の希少性

そもそもこのような薄型メカニカルキーボードは大体がUS配列だから、ノートPCのJIS配列と合わせにくかったり、変換無変換キーが無いというデメリットがあった。
でもこのキーボードはJIS配列もラインナップにある。
自分は何がなんでも変換無変換にIMEオンオフを割り当てたい人間だから、本当にありがたい。
配列は思いの外まとも

タイパーがキーボードに求めるもの、それは配列の普遍さだ。
小さなJISキーボードは下から2段が左にズレた変な配列をしているものが多い。MX Mechanical MINIが最たる例だ。

このキーのズレがタイピング時の違和感とタイプミスを誘発する。一方K3はごく普通の配列をしている。

また、「ファンクションキー周りが使いにくそう」と使用前は思っていたが意外となんとかなる。
なぜならファンクションキーが下の数字キーとほぼ同じ場所に存在するから。そのおかげで「F7は7のちょうど上だな」という認識で押せる。
矢印を狂わせることで、その他の並びをめちゃまともに仕上げてる。コレは個人的に高得点。
見た目良き

このメーカーの特徴である見た目はかなり洗練されている。濃いグレー調に広がる薄めなグレー、ワンポイントのオレンジ、無線接続でスッキリ。

交換用のキーキャップも付属しているから、下のようなデザインにすることも可能。

macのfnキーがある

このキーボードに存在するfnキー、macのキーと同じだから、絵文字のパレットを出すショートカット「fn+E」などのmacのfnキーが無いと使えないショートカットを発動することが可能だ。
自分はmacのfnキーを使わないが、嬉しいと思う人も多いはずだ。
75%は鬼門

75%サイズは横幅がコンパクトな分ホームポジションを真ん中にしても、右においたトラックボールが追いやられないのが良い。

しかし、慣れない間はbackspaceキーの右にあるpageupキーをめちゃくちゃ押し間違える。
根気よく使い続けることで押し間違える頻度は少しマシになったが、無くなるわけではない。

キーが詰まってる方が見た目は良いが、押し間違えるストレスは半端ない。
いっそのこと右端のキーをごっそり削り取ってほしかったけど、そうするとバランスが悪くなる。
このキーボードはデザインも特徴の一つだから削るなんて判断はできないのだろう。
矢印キーが惜しい

全体の配列のために矢印キーを横並びにしたのは英断。しかし何故この配置(←↑↓→)にしたのかよく分からない。

多くの人が矢印キーのうち多用するのは下と左右。この横一列矢印キーの中で一番打ちやすいのが人差し指。そこに下矢印キーを配置するほうが合理的。

または上矢印キーを左に追いやることで←↓→のキーだけでも同じにする。慣れる必要があるのは、上矢印だけだからコレを採用すべきだ。
とにかく、一番押しやすい場所に使用頻度の少ない上矢印を配置するのはナンセンス。

自分は元々、「CapsLock+HJKLで矢印キー(←↓↑→)を発動する」という矢印キー横並びの設定を前から使用していたから、キー割当ソフト(Karabiner-Elements)で矢印の向きを変更し解決した。
こまめな電源オフが必要
様々な人が言ってるけどホント電池持ちが悪い。
Bluetooth接続、バックライトオフ、スリープ10分、電源入れっぱでたった2日しか持たない。バックライトをつけると電池持ちはもっと悪化する。
これはキースイッチにオプティカルスイッチを採用しているのが原因。

オプティカルスイッチは構造上、100個近いキースイッチ一つ一つを光らせているため、消費電力が半端ない。
この消費電力を無くす…つまりこまめな電源オフを行うことで、電池持ちは8日持つようになった。それでも物足りないが、2日だったことを考えるとかなり向上していることが分かる。
ちなみに残量0から満充電までの時間は3時間弱と仕様通りの結果となった。
隠されたfnショートカット

実はKeychron K3、fn+Bを押すことでバッテリー残量の確認が可能だ。
緑→70~100%/青→30~70%/赤→0~30%らしい。公式曰く正確性は劣るらしいけど、何故かパソコン側で確認できないから、ある程度参考になる。

他にも自動スリープの設定を10分/20分/30分の中から設定することも出来る…のだがこれらのショートカットはあまり知られていない。
その理由は説明書に書いていないから。それに加えこれらのショートカットは公式ページの奥深くに隠されている。
→K3のショートカット(Newタブ)
そのせいで、
- 自動スリープが10分固定
- 電池残量の確認ができない
- Mac配列はF5/F6がfn同時押し
これらの欠点があるように見える。変更可能なのに。
“隠しコマンド”と言うと聞こえは良いが、こんな実用的なショートカットでやるもんじゃない。
メーカーとしてもユーザーとしても不利益。なんだこれ。

「Keychron Q1 キーの組み合わせ表」のようにググることで、他のKeychronキーボードのショートカットも出てくる。機種によってショートカットが微妙に違うから気をつけてほしい。
バックライトオフの罠
このバックライトのオフの方法は2種類ある。
一つがF5のショートカットで、もう一つがFn+ライトキーのオンオフ。
このfn+ライトキーでオフにした際、再度電源オン時にライトが復活する。なんで?

一方、F5のショートカットは再度電源オン時でもバックライトはオフのまま。
つまりこの2つのショートカットは同じようで異なる挙動をする。これらを並べて書くのは誤解を招きかねない。少なくとも挙動の違いは明記すべきだろう。
最後に
めちゃ気に入った

もともとロープロファイルキーボードに恋い焦がれていたこともあって当然だけど気に入った。このペチペチとした打鍵感も静音性もたまらない。
下に羅列した欠点は、ソフトによる改良や解決法を見つけるなどして、なんとか使用できるようになった。
- 75%サイズの押し間違え→気合
- 横並び矢印キー→横並び矢印を長期愛用&ソフトで改良
- 電池持ちカス→こまめな電源オフ
- 隠されたfnキー→見つけた
- バックライトオフの罠→F5ショートカット
癖強い
とはいえこのキーボードはクセが強すぎるため多くの人にお薦めはできない。
- 75%サイズによる押し間違えの酷さ
- 慣れない横並び矢印キー
- キーのカスタマイズはPC限定
- 電池持ち
これらのクセの強さに慣れる、または解決することができるか。それがこのK3を使用する関門だ。多くの人はこのような癖の強さに耐えきれず、押入れの奥の方に眠ることになる。
特にEnterキーの横に隙間がない事による誤タイプは免れない。
K3は中古の安さが魅力

K3はロープロファイルのJISキーボードとしてはかなり安価な値付けがされている。正直この価格は魅力的だ。このキーボードを購入した理由が自分も安価さだった。
発売されて数年立つ=価格もこなれてるため、合わなくても売り飛ばせるのも強み。
しかしK3は確認する点が多く、
- キー配列(JIS/US)
- バージョン(V2か否か)
- スイッチ(メカニカル赤青茶軸/オプティカル赤青茶軸)
- バックライト(RGB/白/無し)
- キーボードの状態(見た目/バッテリー)
これだけの量の確認が必要で面倒くさい。特にオプティカル軸は電池持ちが悪いから、バッテリーがヘタっている可能性がある。
上位機のほうがもちろん良い
K3の上位機種K3 ProやK3 Maxは結構改善されていて
- メカニカルスイッチ(一部ホットスワップ対応)
→バッテリー持ち改善 - JIS配列
- キーのカスタマイズ対応
→クセ強さ軽減 - 打鍵感向上(Maxモデル)
- 2.4GHzドングル対応(Maxモデル)
K3の癖強さ(横並び矢印/75%サイズ)はそのままに、便利な機能が追加されている。キーのカスタマイズに対応している点はかなり大きい。
さっきも書いたが、パソコンならAutoHotKeyやKarabiner-Elementsでカスタマイズできる。しかし借りたPCやスマホだと出来ないため、キーボード本体に配列を保存してくれるのはとても助かる。

つまり今買うなら断然後継機、価格もProとMaxでほぼ同じだからより磨きがかかっているKeychron K3 Maxをおすすめする。
…とはいえ75%サイズや矢印キーのクセ強さは健在だから気をつけてほしい。
最後に紹介したKeychron K3 Max(JIS/赤軸/ホットスワップ対応/RGBライト)のアフィリンクを貼っておく。
ここまでご覧いただきありがとうございました。