今回はPro fit ergo vertical を三ヶ月使ったのでレビューする。自分が購入したのはワイヤレスモデルだ。
残念ながらこの製品は取扱終了している。とても悲しい、サポートに問い合わせたら後継製品が発売されていると知らされたが…ボタン数、角度が違う。とても悲しい。詳しくは後述する。
目次
Pro fit ergo verticalとは
ケンジントンロックでおなじみ?のケンジントンが販売している親指トラックボールだ。
まずトラックボールに付いての説明をしたい。一般のマウスはマウス本体を動かしてカーソルを操作する。一方でトラックボールマウスは本体についているボールを転がしてカーソルを操作する。
実はケンジントンは、トラックボールマウスを多く作っているトラックボール界ではとても有名な会社なんだ。
引用:Kensington
ケンジントンは上のような大玉のトラックボールを主に作っている会社なのだが、今回紹介するトラックボールは下のような親指タイプだ。
引用:Kensington
Pro fit ergo verticalの特徴
先ほど見せた通りPro fit ergo vertical(以後Vertical)の形は普通のマウスとはかなり違う。大きな特徴は以下の通り
- 親指トラックボール
→親指だけでカーソル操作 - 角度が60°
→エルゴノミクスデザイン - 合計9個ものカスタマイズボタン
→左右クリックを除くと7つものボタンをカスタマイズ可能 - Bluetooth2台、USBドングル1台の
→計3台接続 - 3年保証
→保証が手厚い
価格はなんと約1万円。「高すぎ…」と言う前に少し話をさせてほしい。
正直、トラックボール全般高い。特にケンジントンの製品は価格が高い分保証が充実している。なんと3年。これはケンジントンの自信の現れだろう。
この値段の競合として、ロジクールのMX Ergoが挙げられると思う。価格は約1.6万円ほど、セールで1.3万円ほどになっていることもある。高い。
引用:logicool
↑ちょうど手のひらが当たる所がラバー素材に…
しかし自分はラバー素材が経年劣化でベタつくというのがどうしても嫌で買わなかった。
あとMicroUSBでの充電式なのも気に食わない。一方Verticalは表面にラバー素材を使っていない。つまりベタベタしない。これが購入の決め手だった。
外観
外観はこちら

↑正面。でかい

↑斜め上から。60°の傾斜がついている。

↑左横からの画像。ホイールはチルトつき。本体の質感は普通だが、経年劣化しにくいようにしたのはポイント高い。

↑左手前からの画像。見えにくいが手前に3つのボタンがある。一番手前のBluetoothが書かれた横のボタン以外の2つはカスタマイズ可能。

↑裏面はこの様になっている。大きいボタンを押すとボールを取り出すことができる。
定期的な掃除が必要。

↑電源を入れると緑色に光る。

↑裏面にあるDPIのボタンを押すと青色に光る。1回光るとDPI低、2回光ると中、3回光ると高となる。

↑電池が切れかけると電源ON時に5回赤点滅する。
使ってみた感想
次に使ってみた感想をメリット・デメリットを分けて解説する。
慣れるまで時間がかかる

よく「トラックボールはなれるのに時間がかかる」と言われるが実際に時間がかかった。ちゃんと使えるようになるまで1週間かかった。挫折する人がいる理由がわかった気がした。
だが、慣れてしまえば手放せなくなる。場所を取らない、キーボードにマウスをぶつけることがなくなるなど言い出したらキリがない。

ただこれはパソコンを日常的に使う人だけで、普段スマホばかり使っている人にはおすすめできない。高いし…
逆にパソコンを毎日触る人にはぜひともおすすめしたい。
腱鞘炎対策にはなる

トラックボールの前は普通のマウスを使っていて手首に違和感があったが、使いだしてからあまり違和感を感じなくなった。腱鞘炎になりかけだったのかもしれないが、真相は不明。
バッテリーは驚異的

バッテリーは1日平均3時間ほど使っている自分の環境では1ヶ月に10%ほど減っている印象。充電式と比べれば驚異的だ。
追記
その1
去年9月から1月までは一ヶ月10%ほどの減りだったが、2月中頃から急にバッテリーが30%になった。(10%のペースだと45%くらい)
その2
3月くらい急に電池の減りが早くなった。

↑2月中頃は30%だったのが13%まで低下している。実はこの写真を撮る直前は16%だった。
その3
3月8日に電池が切れた。9月初旬から使用していたからちょうど半年くらいの電池持ちだ。

電源ONにするとこのように5回点滅。
この状態で使用するとカーソルが動かなくなったりして不安定だから電池切れなのかを確認する程度でしか使えない。
ちなみに点滅した際のバッテリーは2%だった。

カスタマイズボタンが多い

↑設定できる量が多い。
あとこのトラックボールマウスはカスタマイズボタンが多いのもポイントだ。
左クリック横のボタンに戻る、進むを割り当てても5つも残る(中ボタン、チルト含む)。他のボタンに色々なカスタマイズを施すことが可能だ。
ちなみにMX Ergoの特徴として精密モードというのがあるが、カスタマイズソフトのKensingtonWorksを使うことで精密モード的なことができる。詳しくは下の補足を見てほしい。

↑カスタマイズしたいボタンを選びクリック。

↑「カスタム速度」をクリック→「クリックして適用」を押す

↑ポインタースピードをこれくらいに設定し、右下の保存をクリック。
Google Driveに保存可能

Googleドライブど連携してカスタマイズしたデータをドライブに保存できるのも良い。もしもソフトがおかしくなって再インストールが必要となってもGoogleドライブにログインしてインポートするだけで元通りになるのは心強い。
サポート体制が万全

あとケンジントンのサポート体制も充実している。Verticalの在庫切れを願って問い合わせを午後3~4時頃にしたのにも関わらず当日中に回答してくれるサポート体制は素晴らしいと感じた。
もちろんデメリットもある。
掃除が必要

トラックボール全般に言えることだがボールの支持球の掃除が必要だ。自分は3日に一回ほど掃除する。めんどくさいけどティッシュで支持球3つをなぞるだけでほとんどの汚れは取れる。
ソフトが不安定
急だが自分はM1 Macbook Pro(2020)を、OSはSonoma14.2.1を利用している。
まずはこれを見てほしい。

↑ソフトを起動するとたまに真っ白になる。
この解決策は、一回左下の家のマークを押し、製品の選択画面に移動→Verticalを選択することで治る。

↑治った。
他にも特定のソフトのカスタマイズができなくなったりカスタマイズボタンが効かなくなるなどバグがある。早く改善してくれないだろうか…
デバイス切替がめんどくさい

先程書いた通りこのデバイスは3台のデバイスで使用できる。その切り替え方法はなんと3秒長押し。例えばBluetooth1からUSBドングルのデバイスへ移動するとき、3秒長押しを2回しないといけない。
一回で済ませようと6秒長押ししてもBluetooth2になるだけでドングルには変わらない。これがかなりめんどくさい。
複数のデバイスをコロコロ変える人にはおすすめできない。ニ回押しで切り替えにできなかったのか…
ボールがいまいち

あとボールの出来が悪く感じた。少しカクカクする感じ。微妙な調整が難しい。ペリックス製のボールに変えることで改善できるらしいが、銀色のボールがないので待機。
追記:コーティング剤塗りました
コーティング剤を塗ることで操作性が向上した。引っかかりが消えて最高。…塗る手間はあるが。
追記:ペリックスのボールに交換
ペリックスのボールに交換することでコーティング剤よりも操作性が向上した。
カーソル飛びが発生
あとボールを弾いて移動させようとすると、カーソルが飛ぶ。
トラックボールのメリットとして弾くことでカーソルを高速移動できると言っている人がいるが、このトラックボールではできない。
多分センサーが悪い。ただ、弾く場面が自分にないから支障はない。

右→左に弾いてもちゃんと移動しない…
追記
カーソル飛びはDPI高にすると多発するので低~中に設定したほうがいいだろう。低設定でも弾くとカーソルは飛ぶが…
追記:ホイールの欠陥
なんだかんだ使い始めて7ヶ月立ったのだが最近、ホイールの調子が悪い。下にスクロールしているのに上に移動することが多々ある。
Bluetoothが干渉しているのかと思っていたが、前までなかったことと、別の無線マウスではスクロールに以上がなかったため不具合だと睨んだ。
調べてみると同じスクロールの不具合が多数見受けられた。ホイールの調子が悪いのは多分この不具合だと思う。
後継機Pro fit ergo TB 550との比較
後継機であるTB 550は下のようなトラックボールだ。
引用:Kensington
VerticalとTB550を比較して次のような違いがある。
TB550 | Vertical | |
傾斜角 | 45° | 60° |
駆動方式 | 充電式 | 単三電池2本 |
駆動時間 | 最大4ヶ月 | 最大18ヶ月 |
ボタン数 | 7つ | 9つ |
TB550は「チルトホイールまたは充電式のM575」の印象を受ける。つまりVerticalの「良さ」が失われている。
Verticalの後継機としてはボタン数減少があまりにも致命的だと思う。
Verticalは価格が高いがそれに見合った、いやそれ以上の利点が多いトラックボールだということを改めて認識した。親指型でこれだけボタンがあるのはVerticalだけなのではないだろうか。
追記:実機触ってきた
この前上の後継機種を触ってきた。
内容はツイート通り。これにカスタマイズボタンが2つあったら、Verticalをも超える名作だったかも知れない。(↓アフィリンク)
今回は熱が入りすぎて長くなったがここまで!最後まで見てくれて本当にありがとうございました。